夏の疲れが招く、高齢者の入院とADL低下のリスク
厳しい暑さが続く日本の夏。若いうちは夏バテを感じても、十分な休養と栄養補給で回復できることが多いでしょう。しかし、高齢者の場合はそう簡単にはいきません。
「今年の夏は特に暑かったから、なんだか体がだるいなぁ」「食欲もあまりないんだけど…」
このような何気ない体の変化が、実は深刻な事態のサインかもしれません。
高齢者が夏の暑さに弱い理由
高齢者は、若者に比べて体温調節機能が低下し、暑さの影響を受けやすくなっています。そのため、室内と室外の気温差や、急激な温度変化に対応できずに、体調を崩しやすくなります。
- 体温調節機能の低下: 加齢に伴い、汗腺の機能が低下し、汗をかきにくくなることで体温調節が難しくなります。
- 基礎疾患の影響: 高血圧、糖尿病、心臓病などの基礎疾患がある場合、体温調節機能がさらに低下しやすくなります。
- 水分補給の不足: 喉の渇きを感じにくくなるため、水分不足に陥りやすくなります。
- 栄養状態の悪化: 食欲不振や消化機能の低下により、必要な栄養素が不足しやすくなります。
- 薬の影響: 利尿剤など、服用している薬の影響で脱水症状が起きやすくなる場合があります。
夏の疲れが招く2つのリスク:入院とADL低下
夏の疲れをそのままにしておくと、脱水症状や熱中症を引き起こし、入院が必要となるケースも少なくありません。また、入院によって生活環境が大きく変化することで、ADL(日常生活動作)が低下し、要介護状態に繋がる可能性もあります。
1. 入院リスク
暑さによって体力が低下した状態では、免疫力も低下し、感染症にかかりやすくなります。また、食欲不振や脱水症状によって体力がさらに奪われ、肺炎や尿路感染症などの合併症を引き起こす可能性も高まります。
主な入院原因となる疾患
- 熱中症: 意識障害、めまい、頭痛、吐き気、倦怠感などの症状が現れます。重症化すると命に関わるケースも。
- 脱水症状: 尿量の減少、口の渇き、めまい、ふらつき、意識障害などの症状が現れます。
- 食中毒: 食欲不振や下痢、嘔吐、腹痛などの症状が現れます。高齢者の場合、脱水症状を引き起こしやすく危険です。
- 感染症: 肺炎、尿路感染症などが挙げられます。発熱、咳、痰、頻尿、排尿痛などの症状が現れます。
2. ADL低下
入院によって安静状態が続くと、筋力が低下しやすくなります。また、病院のベッドと自宅の布団では高さや硬さが異なり、身体機能に影響を与える可能性も。さらに、慣れない環境での生活は精神的なストレスも大きく、認知機能の低下や意欲の低下に繋がることがあります。
ADL低下の具体例
- 移動能力の低下: 歩行困難、立ち上がり困難、転倒リスクの増加
- 食事に関する能力の低下: 箸やフォークの使用が困難になる、食べこぼしが増える、食事介助が必要となる
- 排泄に関する能力の低下: トイレまで行くのが困難になる、尿意や便意の訴えが難しくなる
- 入浴に関する能力の低下: 浴槽への出入りが困難になる、一人で体を洗うのが難しくなる
- 着替えに関する能力の低下: ボタンの着脱、服の脱ぎ着が困難になる
大切な家族を守るために:夏の疲れを残さない生活習慣
夏の暑さから高齢者を守るためには、日頃から生活習慣に気を配り、体調管理を徹底することが重要です。
1. こまめな水分補給
喉が渇いていなくても、時間を決めてこまめに水分を摂取しましょう。お茶や水だけでなく、経口補水液やスープなどもおすすめです。
2. 栄養バランスのとれた食事
食欲がなくても、少量ずつでも良いので、消化の良いものを食べるようにしましょう。タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
3. 室温管理
室内は涼しい状態を保ち、直射日光を避けて過ごしましょう。エアコンや扇風機を効果的に利用し、室温は28℃以下、湿度は60%以下を目安に調整しましょう。
4. 適度な運動
無理のない範囲で、軽い運動やストレッチを行いましょう。ウォーキングやラジオ体操などがおすすめです。運動することで、体力維持だけでなく、ストレス発散にも繋がります。
5. 規則正しい生活
睡眠をしっかりとる、毎日同じ時間に起きるなど、生活リズムを整えましょう。
6. 定期的な健康チェック
健康診断や人間ドックを定期的に受診し、体の異変を早期に発見することが大切です。
夏の疲れが深刻化する前に:老人ホームという選択肢
「高齢の親のことが心配だけど、仕事や家事などで毎日面倒を見るのは難しい…」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。老人ホームは、高齢者が安心して生活を送れるよう、食事、入浴、排泄などの介護サービスを提供しています。医療機関との連携体制が整っている施設も多く、万が一の場合も安心です。
老人ホームで期待できること
- 24時間体制の介護・医療ケア: 専門スタッフによる介護サービスを受けられるため、安心です。
- 栄養バランスのとれた食事提供: 管理栄養士が栄養バランスを考えた食事を提供している施設が多くあります。
- 快適な住環境: バリアフリー設計や緊急コールなど、安全に配慮した設備が整っています。
- 充実したレクリエーション: レクリエーションやイベントを通して、他の入居者との交流を楽しむことができます。
夏の疲れは、高齢者にとって大きな負担となります。深刻な事態に陥る前に、老人ホームへの入居を検討してみてはいかがでしょうか。
私たち老人ホーム紹介センターでは、お客様の状況や希望に合った老人ホーム探しを、無料でサポートいたします。
老人ホームの種類や選び方、費用など、お気軽にご相談ください。